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【暗号資産の不都合な真実】トークン化×ステーキングが生む「見えない希薄化」——供給上限という幻想の終わり

「ビットコインは2,100万枚しかない」
「だからビットコインは希少で、価値がある」

あなたも、こう信じていませんか?

しかし、この「供給上限」という神話は、今、静かに崩れ始めています

その原因は、「トークン化」と「ステーキング」という、一見ポジティブに見える2つのトレンドです。

原資産をロックし、ステーキングで利回りを得ながら、
トークン化された「引換券」を市場に流通させる。

これは「信用創造」であり、本質は「希薄化」である。

この仕組みを理解すると、以下のことが見えてきます:

  • なぜステーブルコインの発行体は巨額の利益を上げているのか
  • なぜ「stETH」「WBTC」といったトークンが急増しているのか
  • なぜ「供給上限」があるはずの暗号資産が、実質的に「無限」になりうるのか
  • そして、誰が得をし、誰が損をしているのか

本記事では、暗号資産業界が語りたがらない「不都合な真実」を、根本から解き明かします。

1. 「トークン化」の本質を理解する

まず、「トークン化」とは何かを正確に理解しましょう。

トークン化の基本構造
【トークン化の仕組み】

① ユーザーが原資産(BTC、ETH、XRP等)を預ける

② カストディ(発行体)が原資産をロック(保管)

③ カストディがトークン化資産を発行
 (例:WBTC、stETH、xXRP等)

④ ユーザーはトークン化資産を受け取る

⑤ トークン化資産は市場で自由に流通
具体例で見る
原資産 トークン化資産 発行体
BTC WBTC(Wrapped BTC) BitGo等
ETH stETH(Staked ETH) Lido
ETH rETH Rocket Pool
ドル USDT Tether
ドル USDC Circle
トークン化の本質

「原資産を預けて、引換券を受け取る」

引換券(トークン化資産)は、市場で原資産と同等の価値として取引される。ユーザーは「流動性」を失わずに、原資産を預けることができる。
◆ ◆ ◆
2. カストディの「うまい話」——利回りの独占

ここからが核心です。

カストディ(発行体)は、預かった原資産で何をしているのか

原資産の「運用」
【カストディのビジネス】

ユーザーから原資産を預かる

原資産を運用して利回りを得る

ユーザーにはトークン化資産を渡す(利子なし

利回りはカストディが総取り
運用方法の例
原資産 運用方法 利回り(例)
ドル(USDT) 米国債を購入 年4-5%
ETH(stETH) ステーキング 年3-5%
BTC レンディング / ステーキング(Babylon等) 年1-3%
XRP AMM流動性提供 / レンディング 年2-5%
Tetherの収益を見てみよう
約62億ドル(約9,300億円) Tether社の2024年純利益(推定)

この巨額の利益は、ユーザーから預かったドルを米国債で運用した利回りです。

ユーザーには1円も還元されていません。

カストディのビジネスモデル

「あなたの資産を預かり、私たちが運用して利益を得る。
あなたには引換券(トークン)を渡すので、それで取引してください。
利益? それは全部私たちのものです。」

これが、トークン化ビジネスの本質です。
◆ ◆ ◆
3. なぜこれは「信用創造」なのか

ここで、経済学的に重要な現象が起きています。

同じ資産が「2箇所」に存在する
【Before】
ユーザー:100 ETH を保有

【After(トークン化後)】
カストディ:100 ETH を保有(ステーキング中)
ユーザー :100 stETH を保有(市場で流通)
─────────────────────────────────
100 ETH + 100 stETH = 200 ETH分の「価値」が存在
これが「信用創造」の定義
✨ 信用創造とは ✨
100 ETH → 100 ETH(ロック)+ 100 stETH(流通)

同じ原資産から、2倍の「購買力」が生まれること

銀行の信用創造との比較
🏦 銀行の信用創造

Aさんが100万円を預金

銀行がBさんに90万円を貸出

Aさんの残高:100万円

Bさんの現金:90万円

100万円 → 190万円

🪙 トークン化の信用創造

ユーザーが100 ETHを預入

カストディがステーキング

カストディ:100 ETH(運用中)

ユーザー:100 stETH(流通)

100 ETH → 200 ETH分

信用創造のメカニズム

原資産は「ロック」されているが、消えたわけではない。
トークン化資産は「原資産と同等の価値」として市場で流通する。

結果として、同じ価値が2箇所で同時に機能している。
◆ ◆ ◆
4. 信用創造の正体は「希薄化」である

「信用創造」という言葉は、何か価値が増えたような印象を与えます。

しかし、本質は逆です

パイは増えていない
【信用創造の真実】

パイの大きさ:100(変わらない)

【Before】
パイを分ける人:1人
→ 1人あたり:100

【After】
パイを分ける人:2人
→ 1人あたり:50

= 希薄化(Dilution)
「信用創造」vs「希薄化」——同じ現象の呼び方
呼び方 印象 使う人
信用創造 ポジティブ(価値が増えた感じ) 発行体、金融機関
希薄化 ネガティブ(価値が減る感じ) 既存保有者、批判者
マネーサプライ拡大 中立的 経済学者
見えないインフレ 批判的 懐疑派
「信用創造」とは「希薄化」のマーケティング用語

同じ現象を、発行体は「信用創造」と呼び、価値が増えたように見せる。
しかし本質は、既存保有者の価値を薄めて、自分たちが利益を得ること。

パイを増やさずに、パイを分ける人を増やしているだけ。
◆ ◆ ◆
5. ステーブルコインとの比較——構造は同じ

この構造は、ステーブルコインと全く同じです。

ステーブルコインの信用創造
【USDTの仕組み】

① ユーザーが100ドルを預ける

② Tether社が100ドルで米国債を購入(利回りを得る)

③ Tether社が100 USDTを発行

④ 結果:
 ・100ドル分の米国債(Tetherが運用)
 ・100 USDT(市場で流通)

100ドル → 200ドル分の購買力(信用創造)
暗号資産トークン化との比較
項目 USDT(ドル) stETH(ETH) xXRP(仮)
原資産 ドル ETH XRP
運用方法 米国債 ステーキング AMM/レンディング
発行トークン USDT stETH xXRP
利回り取得者 Tether Lido 発行体
ユーザーの利子 ゼロ 一部還元* ゼロ(想定)
信用創造 ✅ あり ✅ あり ✅ あり

* stETHは一部利回りを還元するモデルだが、Lidoも手数料を取る

構造の本質

原資産をロック → 運用で利回り → トークンを発行 → 信用創造(希薄化)

ドルでやればステーブルコイン。
ETHでやればリキッドステーキング。
BTCでやればWrapped BTC。
XRPでやればXRP債。

仕組みは全く同じ。
◆ ◆ ◆
6. 「供給上限」という幻想の終わり

ここで、暗号資産の「根本的な価値提案」が揺らぎます。

ビットコインの「神話」
「ビットコインは2,100万枚しか発行されない」

「だから希少性があり、価値がある」

「デジタル・ゴールドである」

これは、オンチェーンのBTCだけを見れば正しいです。

しかし、市場全体を見ると?

市場に流通する「BTC相当」の資産
【BTC関連資産の流通量(概念図)】

オンチェーンBTC :2,100万枚(上限)
─────────────────────────────
WBTC      :約15万枚相当
cbBTC      :?万枚相当
tBTC       :?万枚相当
stBTC(将来)  :?万枚相当
取引所IOU    :?万枚相当
─────────────────────────────
実質的な「BTC相当の流動性」= 2,100万枚を超える
取引所の「IOU問題」

さらに深刻なのは、取引所のBTC残高です。

取引所で表示される「BTC」は本物か?

・取引所はユーザーのBTCを預かっている
・しかし、すべてをコールドウォレットに保管しているとは限らない
・一部を運用(レンディング等)している可能性
・ユーザーが見ているのは「残高の数字」(IOU)

もし取引所が100万BTCを預かり、50万BTCを運用していたら?
ユーザーの「残高」は100万BTC。実際のBTCは50万BTC。
50万BTC分の「信用創造」が起きている。
供給上限の「名目」と「実質」
概念 名目上 実質上
BTCの供給上限 2,100万枚 不明(トークン化・取引所IOUを含めると超過)
ETHの供給量 約1.2億枚 + stETH、rETH等で超過
XRPの供給上限 1,000億枚 トークン化が進めば超過
供給上限は「幻想」になりつつある

「2,100万枚しかない」のはオンチェーンのBTCだけ。
市場で流通する「BTC相当の購買力」は、すでに2,100万枚を超えている可能性がある。

トークン化が進めば進むほど、「供給上限」という概念は意味を失う。
◆ ◆ ◆
7. 誰が得をし、誰が損をするのか

この「トークン化×ステーキング」の構造で、誰が得をし、誰が損をするのか、明確にしましょう。

プレイヤー別の損益
🏦
カストディ(発行体)
◎ 大勝ち

利回りを独占
リスクは限定的

👤
トークン保有者
△ 損

利子ゼロ
希薄化リスク

👥
原資産ホルダー(トークン化しない人)
✕ 損

希薄化で価値低下
何も得ない

詳細な損益分析
プレイヤー 得るもの 失うもの 総合評価
カストディ 利回り収入(年数%) 運営コスト、カウンターパーティリスク ◎ 大勝ち
トークン保有者 流動性(使い続けられる) 利回り(ゼロ)、希薄化 △ 微損
原資産ホルダー なし 希薄化による価値低下 ✕ 損
新規参入者 参入しやすい(流動性がある) 希薄化した資産を買うことになる → 中立
なぜユーザーは「損」に気づかないのか
【ユーザーの認識】

「stETHを持っていれば、ETHと同じ価値」← 正しい(名目上)
「便利だし、何も困らない」← 事実
「ステーキング報酬ももらえる」← 一部のプロトコルでは

【見えていないこと】

「市場全体のETH相当の流動性が増えている」← 希薄化
「カストディが利回りの大部分を取っている」← 搾取
「供給上限の意味が薄れている」← 価値の根拠が揺らぐ
◆ ◆ ◆
8. 私たちはどう向き合うべきか

この「不都合な真実」を理解した上で、私たちはどう行動すべきでしょうか。

理解すべき3つのポイント
1
「供給上限」は絶対ではない
オンチェーンの発行枚数と、市場の「実質的な流動性」は別物。トークン化が進むほど、希薄化が進む。
2
「無料のサービス」には裏がある
ステーブルコインもトークン化も、ユーザーには便利に見える。しかし、利回りは発行体が独占している。
3
「信用創造」は「希薄化」の別名
ポジティブな言葉に騙されない。パイは増えていない。分ける人が増えているだけ。
具体的なアクション
アクション 内容
自己管理(セルフカストディ) 原資産を自分で管理。取引所やカストディに預けない。
トークン化資産の理解 WBTC、stETHは「引換券」。原資産そのものではない。
利回りの確認 「誰が利回りを得ているか」を常に確認。無料には理由がある。
希薄化リスクの認識 トークン化が進む資産は、長期的に希薄化リスクがある。
分散投資 一つの資産に集中しない。希薄化リスクを分散。

📌 この記事のまとめ

  • トークン化の本質:原資産をロックし、引換券を発行する仕組み
  • カストディのビジネス:原資産を運用して利回りを独占。ユーザーには利子ゼロ
  • 信用創造の正体:同じ価値が2箇所に存在する状態 = 希薄化
  • ステーブルコインと同じ構造:ドルでやっても、ETHでやっても、仕組みは同じ
  • 供給上限の幻想:オンチェーンの枚数と、市場の実質流動性は別物
  • 誰が得するか:カストディ(発行体)だけが確実に得をする
  • 私たちの備え:セルフカストディ、利回りの確認、希薄化リスクの認識

「便利さ」の裏には、必ず「誰かの利益」がある。

あなたは、その構造を理解した上で参加していますか?

※本記事は情報提供を目的としており、特定の投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

【投資に関するご注意】

本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄や取引所への投資を勧誘するものではありません。暗号資産(仮想通貨)は価格変動が大きく、元本を割り込むリスクがあります。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行っていただきますようお願いいたします。

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