「ビットコインは2,100万枚しかない」
「だからビットコインは希少で、価値がある」
あなたも、こう信じていませんか?
しかし、この「供給上限」という神話は、今、静かに崩れ始めています。
その原因は、「トークン化」と「ステーキング」という、一見ポジティブに見える2つのトレンドです。
トークン化された「引換券」を市場に流通させる。
これは「信用創造」であり、本質は「希薄化」である。
この仕組みを理解すると、以下のことが見えてきます:
- なぜステーブルコインの発行体は巨額の利益を上げているのか
- なぜ「stETH」「WBTC」といったトークンが急増しているのか
- なぜ「供給上限」があるはずの暗号資産が、実質的に「無限」になりうるのか
- そして、誰が得をし、誰が損をしているのか
本記事では、暗号資産業界が語りたがらない「不都合な真実」を、根本から解き明かします。
まず、「トークン化」とは何かを正確に理解しましょう。
① ユーザーが原資産(BTC、ETH、XRP等)を預ける
↓
② カストディ(発行体)が原資産をロック(保管)
↓
③ カストディがトークン化資産を発行
(例:WBTC、stETH、xXRP等)
↓
④ ユーザーはトークン化資産を受け取る
↓
⑤ トークン化資産は市場で自由に流通
| 原資産 | トークン化資産 | 発行体 |
|---|---|---|
| BTC | WBTC(Wrapped BTC) | BitGo等 |
| ETH | stETH(Staked ETH) | Lido |
| ETH | rETH | Rocket Pool |
| ドル | USDT | Tether |
| ドル | USDC | Circle |
「原資産を預けて、引換券を受け取る」
引換券(トークン化資産)は、市場で原資産と同等の価値として取引される。ユーザーは「流動性」を失わずに、原資産を預けることができる。
ここからが核心です。
カストディ(発行体)は、預かった原資産で何をしているのか?
ユーザーから原資産を預かる
↓
原資産を運用して利回りを得る
↓
ユーザーにはトークン化資産を渡す(利子なし)
↓
利回りはカストディが総取り
| 原資産 | 運用方法 | 利回り(例) |
|---|---|---|
| ドル(USDT) | 米国債を購入 | 年4-5% |
| ETH(stETH) | ステーキング | 年3-5% |
| BTC | レンディング / ステーキング(Babylon等) | 年1-3% |
| XRP | AMM流動性提供 / レンディング | 年2-5% |
この巨額の利益は、ユーザーから預かったドルを米国債で運用した利回りです。
ユーザーには1円も還元されていません。
「あなたの資産を預かり、私たちが運用して利益を得る。
あなたには引換券(トークン)を渡すので、それで取引してください。
利益? それは全部私たちのものです。」
これが、トークン化ビジネスの本質です。
ここで、経済学的に重要な現象が起きています。
ユーザー:100 ETH を保有
【After(トークン化後)】
カストディ:100 ETH を保有(ステーキング中)
ユーザー :100 stETH を保有(市場で流通)
─────────────────────────────────
100 ETH + 100 stETH = 200 ETH分の「価値」が存在
同じ原資産から、2倍の「購買力」が生まれること
🏦 銀行の信用創造
Aさんが100万円を預金
↓
銀行がBさんに90万円を貸出
↓
Aさんの残高:100万円
Bさんの現金:90万円
↓
100万円 → 190万円
🪙 トークン化の信用創造
ユーザーが100 ETHを預入
↓
カストディがステーキング
↓
カストディ:100 ETH(運用中)
ユーザー:100 stETH(流通)
↓
100 ETH → 200 ETH分
原資産は「ロック」されているが、消えたわけではない。
トークン化資産は「原資産と同等の価値」として市場で流通する。
結果として、同じ価値が2箇所で同時に機能している。
「信用創造」という言葉は、何か価値が増えたような印象を与えます。
しかし、本質は逆です。
パイの大きさ:100(変わらない)
【Before】
パイを分ける人:1人
→ 1人あたり:100
【After】
パイを分ける人:2人
→ 1人あたり:50
= 希薄化(Dilution)
| 呼び方 | 印象 | 使う人 |
|---|---|---|
| 信用創造 | ポジティブ(価値が増えた感じ) | 発行体、金融機関 |
| 希薄化 | ネガティブ(価値が減る感じ) | 既存保有者、批判者 |
| マネーサプライ拡大 | 中立的 | 経済学者 |
| 見えないインフレ | 批判的 | 懐疑派 |
同じ現象を、発行体は「信用創造」と呼び、価値が増えたように見せる。
しかし本質は、既存保有者の価値を薄めて、自分たちが利益を得ること。
パイを増やさずに、パイを分ける人を増やしているだけ。
この構造は、ステーブルコインと全く同じです。
① ユーザーが100ドルを預ける
↓
② Tether社が100ドルで米国債を購入(利回りを得る)
↓
③ Tether社が100 USDTを発行
↓
④ 結果:
・100ドル分の米国債(Tetherが運用)
・100 USDT(市場で流通)
↓
100ドル → 200ドル分の購買力(信用創造)
| 項目 | USDT(ドル) | stETH(ETH) | xXRP(仮) |
|---|---|---|---|
| 原資産 | ドル | ETH | XRP |
| 運用方法 | 米国債 | ステーキング | AMM/レンディング |
| 発行トークン | USDT | stETH | xXRP |
| 利回り取得者 | Tether | Lido | 発行体 |
| ユーザーの利子 | ゼロ | 一部還元* | ゼロ(想定) |
| 信用創造 | ✅ あり | ✅ あり | ✅ あり |
* stETHは一部利回りを還元するモデルだが、Lidoも手数料を取る
原資産をロック → 運用で利回り → トークンを発行 → 信用創造(希薄化)
ドルでやればステーブルコイン。
ETHでやればリキッドステーキング。
BTCでやればWrapped BTC。
XRPでやればXRP債。
仕組みは全く同じ。
ここで、暗号資産の「根本的な価値提案」が揺らぎます。
↓
「だから希少性があり、価値がある」
↓
「デジタル・ゴールドである」
これは、オンチェーンのBTCだけを見れば正しいです。
しかし、市場全体を見ると?
オンチェーンBTC :2,100万枚(上限)
─────────────────────────────
WBTC :約15万枚相当
cbBTC :?万枚相当
tBTC :?万枚相当
stBTC(将来) :?万枚相当
取引所IOU :?万枚相当
─────────────────────────────
実質的な「BTC相当の流動性」= 2,100万枚を超える
さらに深刻なのは、取引所のBTC残高です。
・取引所はユーザーのBTCを預かっている
・しかし、すべてをコールドウォレットに保管しているとは限らない
・一部を運用(レンディング等)している可能性
・ユーザーが見ているのは「残高の数字」(IOU)
もし取引所が100万BTCを預かり、50万BTCを運用していたら?
ユーザーの「残高」は100万BTC。実際のBTCは50万BTC。
50万BTC分の「信用創造」が起きている。
| 概念 | 名目上 | 実質上 |
|---|---|---|
| BTCの供給上限 | 2,100万枚 | 不明(トークン化・取引所IOUを含めると超過) |
| ETHの供給量 | 約1.2億枚 | + stETH、rETH等で超過 |
| XRPの供給上限 | 1,000億枚 | トークン化が進めば超過 |
「2,100万枚しかない」のはオンチェーンのBTCだけ。
市場で流通する「BTC相当の購買力」は、すでに2,100万枚を超えている可能性がある。
トークン化が進めば進むほど、「供給上限」という概念は意味を失う。
この「トークン化×ステーキング」の構造で、誰が得をし、誰が損をするのか、明確にしましょう。
利回りを独占
リスクは限定的
利子ゼロ
希薄化リスク
希薄化で価値低下
何も得ない
| プレイヤー | 得るもの | 失うもの | 総合評価 |
|---|---|---|---|
| カストディ | 利回り収入(年数%) | 運営コスト、カウンターパーティリスク | ◎ 大勝ち |
| トークン保有者 | 流動性(使い続けられる) | 利回り(ゼロ)、希薄化 | △ 微損 |
| 原資産ホルダー | なし | 希薄化による価値低下 | ✕ 損 |
| 新規参入者 | 参入しやすい(流動性がある) | 希薄化した資産を買うことになる | → 中立 |
「stETHを持っていれば、ETHと同じ価値」← 正しい(名目上)
「便利だし、何も困らない」← 事実
「ステーキング報酬ももらえる」← 一部のプロトコルでは
【見えていないこと】
「市場全体のETH相当の流動性が増えている」← 希薄化
「カストディが利回りの大部分を取っている」← 搾取
「供給上限の意味が薄れている」← 価値の根拠が揺らぐ
この「不都合な真実」を理解した上で、私たちはどう行動すべきでしょうか。
オンチェーンの発行枚数と、市場の「実質的な流動性」は別物。トークン化が進むほど、希薄化が進む。
ステーブルコインもトークン化も、ユーザーには便利に見える。しかし、利回りは発行体が独占している。
ポジティブな言葉に騙されない。パイは増えていない。分ける人が増えているだけ。
| アクション | 内容 |
|---|---|
| 自己管理(セルフカストディ) | 原資産を自分で管理。取引所やカストディに預けない。 |
| トークン化資産の理解 | WBTC、stETHは「引換券」。原資産そのものではない。 |
| 利回りの確認 | 「誰が利回りを得ているか」を常に確認。無料には理由がある。 |
| 希薄化リスクの認識 | トークン化が進む資産は、長期的に希薄化リスクがある。 |
| 分散投資 | 一つの資産に集中しない。希薄化リスクを分散。 |
📌 この記事のまとめ
- トークン化の本質:原資産をロックし、引換券を発行する仕組み
- カストディのビジネス:原資産を運用して利回りを独占。ユーザーには利子ゼロ
- 信用創造の正体:同じ価値が2箇所に存在する状態 = 希薄化
- ステーブルコインと同じ構造:ドルでやっても、ETHでやっても、仕組みは同じ
- 供給上限の幻想:オンチェーンの枚数と、市場の実質流動性は別物
- 誰が得するか:カストディ(発行体)だけが確実に得をする
- 私たちの備え:セルフカストディ、利回りの確認、希薄化リスクの認識
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※本記事は情報提供を目的としており、特定の投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

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